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ファンだけが知っている椎名林檎のエモい曲10選

わたし10代の頃から椎名林檎を聴き続けているいわゆる林檎信者です。

んで、その頃からずっと思ってるんだけど椎名林檎さんの曲って「かっこいい!」だけじゃなくて裏に不思議な感覚が潜んでません?

言葉にするとしたら、心の奥がキューとつかまれる感覚というか、家から遠く離れた場所に来た時みたいな不安な感覚というか、胸の奥で小さな炎がメラメラ燃える感覚というか...。

若いころの僕は(というか今もずっと)「泣ける」でも「切ない」でも言い表せないこの感覚はなんだろう...と思いながら、これを求めて椎名林檎を聴きまくっていたところがあります。

この感覚は一言では表せないよ...とか思っていたんだけど最近ラインスタンプなんかでもよく使われているぴったりの言葉があるじゃないか。

この感覚、君の名は「エモい」だ。

エモいって何?

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エモいについて日本語俗語辞典には以下のように説明されている。

エモいとは心の動揺を伴うような感情・感動を意味する英語『emotion(エモーション)』を略したものに形容詞化する接尾語『い』をつけたもので、(音楽やファッションなどの作品に触れた人の)心に強いインパクトを与えられる様をあらわす。ミュージシャンや音楽ファンに使われ始め、次第に音楽関係以外でも普及。その際、涙もろいさま、さらになんとなく寂しい、悲しい気持ちなど、"emotion"の意味から派生した様々な状態をあらわす言葉としても用いられる。

引用元:エモい(えもい) - 日本語俗語辞書

僕の中では上で書いたように心の奥がキューとつかまれる感覚のような、家から遠く離れた場所に来た時みたいな不安な感覚のような、胸の奥で小さな炎がメラメラ燃える感覚のような...このもやもやした複雑な感覚を呼び起こす曲に出会えた時に「エモい...」って言葉を使ってしまいます。

浅野いにおさんの漫画読んだ後みたいな気持ちと言ったら共感してくれる人多いかもしれない。

あと映画館でエンドロール見てる時とか。

いろんなアーティストそれぞれにこういう「エモい曲」って隠れているので僕はそういう曲を見つけるのが大好きです。

ちなみに僕のiTunesにはそういう「エモい曲」ばかりを集めて「日曜日の夜」という名前をつけたプレイリストがパート3ぐらいまで作成されています(キモい)。

中でも椎名林檎さんって特にそういう曲が多いと思うんですよね。

ファンだけが知っている椎名林檎のエモい曲10選

 というわけでエモいコレクターの私が選んだ椎名林檎のエモい10曲を紹介。

「ファンだけが知っている」ということで、広く知られているシングル曲達は除いて、アルバム曲やカップリング曲だけを集めました。

並び順も気にしたので全曲持っている人はぜひこの順番でプレイリスト作って聴いてみてね。

 1.正しい街

でた名曲。椎名林檎、デビューアルバム1曲目からすでにエモい。

18歳の時に作られた曲。天才かよ。

あの日(東京でデビューするために)飛び出したあの街(福岡)と君(付き合っていた恋人)が正しかったのにねと歌う。

上京したばかりの人なら誰しも経験したであろう「東京しんどい...」と思って地元に思いを馳せる時のあのエモさが味わえます。

地元の川(百道浜、室見川)が固有名詞で歌詞に出てくる感じがまたエモい。

無罪モラトリアムのモラトリアム(大人になりたくない気持ち)感がめっちゃ出ててエモい。

2.虚言症

はいまたでた名曲。2枚目のアルバムも1曲目からエモい。

16歳の時に作られた曲。天才かよ。

新聞に載っていた「線路上に寝転んで自殺した少女」に宛てて書いた。「線路上に寝転んでみたりしないで大丈夫」「いま君の為に歌うことだって出来る」と歌うこの曲、当初は「大丈夫」というタイトルだったけど歌詞はそのままで「虚言症」に変更した。死にたくなるぐらいギリギリでボロボロで生きている人への応援歌(っていうと薄っぺらいけど)だと思う。

この歌詞を後で見たら「こんなの偽善だ、虚言だ!」ってなって照れ隠しでタイトル変えちゃうところが椎名林檎っぽくてめっちゃ好き。

ちなみに椎名林檎は後に「なんだよ、 歌いだしが『しかし』って」と語っている。

3.すべりだい

デビューシングル「幸福論」収録のカップリング曲。エモかっこいい。

昔の恋人と別れたことを悔やんで「本当はせめて すぐにでも泣き喚きたいけど」過去にこだわっていると思われるのが恥ずかしいから「記憶が薄れるのを待っている」ところが椎名林檎っぽくてめっちゃ好き。

この曲椎名林檎の曲の中で1位2位を争うぐらい好きなんだけどライブでほとんどやったことない(雙六エクスタシーぐらい)。一生に一度でいいから生で聴きたい曲。

4.闇に降る雨

アルバム「勝訴ストリップ」の5曲目。

椎名林檎が演歌を作ったらこうなる。好きすぎる。どしゃ降りの雨の夜や落ち込みすぎて(心が)どしゃ降りの夜に聴くとさらにエモさに浸れておすすめ。

どうでもいいけど東京メトロの東西線に乗るといつもこの曲の「東西線はあたしを乗せても新宿に降ろしてくれなくて」の部分が頭の中で再生される。

ちなみに椎名林檎は後に「雨だろうが運命(さだめ)だろうが」って「よくこんなこと言えたな」と語っている。

5.眩暈

シングル「ここでキスして。」のカップリング曲。座禅エクスタシーの一夜限りでしか披露されたことのないファンの間でも伝説の名曲。

この灰色で鬱っぽい感じがたまらなくエモい。風邪ひいて寝込んだときみたいな感覚になる。超暗い曲なのにメロディーが超きれいで聴きやすい不思議な曲。

6.17

シングル「罪と罰」のカップリング曲。全て英詞。

この曲は歌詞の和訳を全部読んでから聴いてほしい。

Only like philosophy& after school the time

That's what I call my own my own time

哲学の授業と放課後だけがあたしの時間

エモい...。

学生の時に誰しも感じるであろう「自分は人とは違う...」って悲しくなったり不安になったりでもそれがちょっと誇らしかったりするあの感じに浸れます。

これ聴いて「あたしと一緒だ...」とつぶやきながら泣いてた田舎の地味目なJKも多いはず(たぶんそんなにいない)。

日が沈む川沿いの田舎道とかで聴きたい。

7.メロウ

シングル集「絶頂集」収録曲。

これ出た当時ぼく中学生だったんだけど絶頂集レンタルしてきて「なんか椎名林檎全然良くない...終わったな...」とか思いながらMDに録音していたのをなぜか今でもはっきり覚えている(お前が終わっている)。

高校生ぐらいになって「絶頂集にこんな名曲が入っていたとは!!!」って気づいて猿のように聴き狂った。

代表的な椎名林檎のエモい曲だと思う。曲も歌詞もエモさの塊である。歌詞が狂気じみていて「此処」とか「何処」とか椎名林檎的(中二病的)な漢字使いもふんだんに入っている。才能爆発である。最高。

夕暮れ時の駅のホームで聴きたい。

8.月に負け犬

アルバム「勝訴ストリップ」の9曲目。

18歳の時に作られた曲。当時音楽業界に入った自分の状況を歌った曲(だと思う)。

これもメロウに続き代表的な椎名林檎のエモ曲だと思う。

まず「月に負け犬」ってタイトルがエモい。曲も「悲しい」とか「切ない」とかいう言葉じゃ表せない胸の奥がキューって掴まれる不安な感覚が味わえる。エモい。

9.依存症

アルバム「勝訴ストリップ」の最後の曲。

これもまたちょっと死にたくなるような不安になるエモさを味わえる。ギターが鳴り続ける長いアウトロがまたエモい。

真夜中に目が覚めて歌詞の通り「今朝の二時」とか「今朝の五時」の現実と夢の狭間にこれ聴きながらまた眠りにつきたい。

10.逆さに数えて

シングル「NIPPON」のカップリング曲。

今回の10曲の中で唯一東京事変以後の曲。

「逆さに数えて残りを測っているの」「使い果たすのさ 今生のすべて」林檎さんは常にこのメッセージを伝えて来た。上で紹介した「月に負け犬」では「明日くたばるかもしれない だから今すぐ振り絞る」。最新曲の「目抜き通り」では「最期の日からかぞえてみて」。

椎名林檎の歌はいつも死と隣り合わせだ。

 おまけ:東京事変からも2曲

シングル「遭難」のカップリング曲。

冬が来る前の秋頃の昼下がりみたいな気分になる曲。椎名林檎初期よりも大人のエモさを感じる。それでもまだ当時25歳くらい。若い。

落日

シングル「修羅場」のカップリング曲。

東京事変一期メンバーが脱退した後にリリースされたシングルだったので歌詞がその時の状況と重なっていて切ない。

人との別れを「落日」と表現するセンスがやばい。

まとめ:名曲には「エモい」が隠れている

こうやって並べてみると圧倒的に椎名林檎初期の曲が多かった。

椎名林檎に限らず名曲と呼ばれる曲たちはどれもその裏に「エモい」が隠れていると思う。

自分はこの曲たちにどれだけ助けられただろう。

気持ちが沈んだ時は元気が出る曲よりもこういうエモい曲を聴いていたい。

エモい曲は気持ちに寄り添ってくれる。

エモい曲は人を助ける。

↑椎名林檎のカップリング集。今回の10曲中の4曲がこのアルバムに入っているカップリング曲でした。椎名林檎の名曲はカップリング曲にあり。

↑230万枚以上を売り上げたおばけアルバム。椎名林檎の2枚目。今回10曲中4曲が勝訴の曲でした。アルバム全体で曲が繋がっていて通して聞くのがおすすめ。

追記(2017/08/08)

ブックマークやブログに直接コメントくださったみなさん本当にありがとうございます!!

選曲に全力で同意してくださる方やここに上げた以外の各々の名曲をあげてくださる方などどのコメントもわかる〜!!と頷きながら読ませてもらっています。

何よりやっぱりみんな椎名林檎大好きだなー!!!っていうのがわかったことと、この記事にみんなの椎名林檎愛が集結した感じがして感動しました。

これ選んでいるとき林檎さんの曲のほとんどにエモさが含まれていることに気づいて10曲に絞れないよ!ってなりましたががんばってキリのいい10曲に絞りました。

10曲から泣く泣く外したエモい曲としては以下の曲があります。ご参考まで〜。

<無罪>

  • シドと白昼夢
  • 茜さす 帰路照らされど
  • 同じ夜
  • モルヒネ

↑無罪は全体的にエモい。

<カルキ>

  • おだいじに

↑大好き。病気になったら聴きたい。

<最近>

  • ありきたりな女
  • 青春の瞬き

↑これ書いたあとにありきたりな女も入れればよかった!と後悔。それぐらい好きな曲。青春の瞬きは紅白でもやって認知度高くなったと思ったので今回は除外。

<シングル>

  • ギブス

↑ギブスは最高。シングルなので今回は除外。

<カバー曲>

  • アンコンディショナル・ラブ
  • 翳りゆく部屋
  • スピカ

↑特にアンコンディショナル・ラブを入れたかったけどカバーなので泣く泣く除外。

上記以外にコメントに上がった曲まとめ

・おこのみで

おお渋い!僕の中ではエモさよりエロさが勝っていました!

・私生活(東京事変)

わかります!これも夕日が沈む部屋で聴きたい。

・IT WAS YOU

渋い!久しぶりにこのMV見ました!ありがとうございます。

・浴室

浴室も良い...!林檎さん本人も好きな曲ですよね。

・三十二歳の別れ

これ聴くと大発見のツアーのアンコール思い出してエモくなれます。

・オルゴール

昔YouTubeで聴いて死ぬほどエモかった記憶が蘇りました。最高です。ありがとうございます。果物の部屋→静かなる逆襲みたいにリリースされると良いですね〜。

・入水願い(東京事変)

あのすり切れそうな声が堪らないですよね〜!またライブで聴きたい。

・時が暴走する

エモさより暗さが勝ちました!笑

・丸の内サディスティック

最高です。エモさとかっこよさの両立。知名度高いので今回は除外しました。

・透明人間(東京事変)

NHKの東京事変スペシャルでDynamite!の映像でこの曲が初披露されて初めて聴いたときに泣きました。大好きな曲です。これも知名度高いので除外しました。

・旬

大人のエモさですよね〜!僕の中で三文の曲は初期には勝てませんでした...!