本とのこと

本と映画と音楽の話。

星野源の収入がすごいことになりそう

この前TSUTAYAに行ったら、人気ランキングの本棚に星野源さんのエッセイ集「働く男」「そして生活は続く」が両方ともランクインしていた。

「働く男」(文庫版)は2015年発刊、「そして生活は続く」(文庫版)は2013年発刊なのにだ。

逃げ恥や年末の音楽番組で星野源さんのことが気になった多くの人々が買い求めたのだろうと原因を予想するのは簡単なんだけど、これを見て「星野源最強じゃね!?」と思ったのでそのことについて書いてみる。

星野源の何がすごいのか。

星野源の三足のわらじ

  • 音楽家
  • 文筆家
  • 俳優

3つの肩書きで活躍している星野源さん。

音楽家としての星野源

星野源さんのメインの仕事は音楽。

恋ダンスで知名度が飛躍的に上がった星野源さんが次にリリースするアルバムはきっと超売れる。

ライブも今までのファンはもちろん、逃げ恥や恋ダンスでハマった新規さんも大勢押しかける。「働く男」の又吉さんとの対談の中で「東京ドームでもやってみたい」と語っていたけど、それも今の知名度なら軽く実現できるはず。

そして星野源さんはバンドじゃない。ソロアーティストは儲かる、バンドざまぁみろ(って岡崎体育さんが歌ってた)なのだ。

「てっくん、僕ずっとメンバーが欲しかったんだ。
ライブに行く時も、練習もずっと一人。」
「体育くん、でもさ、よ〜く考えてごらん?
もし君がメジャーデビューして、
CDを出して80万円の利益が入るとするね?」
「うん」
「80万円は君のものさ!でももし4人組のバンドだったら?」
「4分の1?」
「それだけじゃない。グッズの売り上げ、出演のギャラ、
カラオケの印税、楽曲提供ぜ〜んぶ君のものさ!
でも4人組バンドだったら?」
「4分割」
「ね?バンドざまぁみろだろ?」
「うん!バンドざまぁみろ!」

バンドざまぁみろ バンドざまぁみろ
バンドバンドざまぁみろ バンドざまぁみろ
「このバンドも、このバンドも、このバンドもみーんな分割」

「うわぁ、かたや僕は100パーセント!」

引用元:岡崎体育|FRIENDS

「うわぁ、かたや僕は100パーセント」なのだ。星野源強い。

文筆家としての星野源

冒頭にも書いた通り、いま星野源の本が売れている。2年前、3年前に出した文庫本が今になってまた売れ始めるなんてことなかなかない。

なんでこんなことが起きているかというと、星野源さんが文筆家だけではなく、音楽家としても俳優としても活躍しているからだ。

昨年のアメトーークの読書芸人の回で、読書芸人が出版社の方へインタビューするコーナーがあった。その中で「どんな時に本が売れるんですか?」という質問があり、出版社の方が例えば「有名人が本を紹介した時です」と答えていた。

星野源さんが他の分野で活躍することで、星野源さん自身が自分の本の広告になる。

逃げ恥ロスとなった多くの人々が「もっと星野源を」って求めて本屋に走る。

星野源のライブに感動してすっかりファンになった多くの人々がファングッズとして星野源の本を買う。

僕は好きなアーティストのその人の考え方とかバックグラウンドも追いかけて、その上で音楽を聴くっていう行為がけっこー好きだ。だからアルバム発売時とかにアーティストへのインタビューが載った音楽雑誌なんかもよく読む。その人の考え方が知れるとその人の音楽を聴くのがもっと楽しくなる。

その点で、星野源さんのファンの人達って本当に幸運だと思う。好きなアーティストの本ってその人へのインタビューを文字に書き起こしたものがほとんどなんだけど、星野源さんはそれを自分で書いている。しかもそれがめっちゃおもしろいのだ。

「働く男」の中で「自分の曲を振り返ろう」というコーナーがあって、その中で過去のアルバムやシングル曲への思いが書かれている。これを読むと過去作もどんどん気になってくる。

本が売れることでCDまで売れる。星野源強い。

俳優としての星野源

「真田丸」「逃げ恥」でファンを獲得して視聴率男となった星野源さん。今後のクールのドラマにも引っ張りだこのはず。きっと映画出演のオファーもたくさんくる。

だからこの先、俳優としてのギャラもたくさんもらえるだろうけど(収入的に)大事なのはそこじゃない。

ここまで読んでもらえたらおわかりの通り、星野源さんが俳優として活躍すればするほど、星野源さん自身が広告となって自分のCDと本が売れる。星野源強い。

星野源はなぜ歌う前に「どーもー星野源でーす」と言うのか?

年末の歌番組で星野源さんを見ていて気になっていたことがある。

星野源さんはテレビ番組で歌う前に必ず

「どーもー星野源でーす」

って言うのだ。

気になって調べてみたらその理由は「歌番組で『星野源でーす』と名乗るのは曲と名前、名前と顔が一致するようにするため」と本人が語っていた。

この人、できる。自分が広告であることをわかって戦略的にやっているのだ。なんてしたたかな男。星野源強い。

キングコング西野さんが炎上する一方で星野源さんは着々

 先日、絵本作家になったキングコング西野さんがめっちゃ炎上してた。

西野さんが製作した絵本「えんとつ町のプペル」をWeb上で無料公開したことが発端でこれがいろんな議論を呼んで炎上。

 ウーマン村本さんがつぶやいているように、「嫌い」というマイナスのパワーだとしても、西野さんが話題になればなるほど本が売れる。

本が売れて嬉しいっちゃ嬉しいけどたぶんこれは西野さん的には不本意な結果だったはず。西野さんは一番始めは「絵本を買えない子供のため」と謳って無料公開をしていた。プラスのパワーで話題を起こしたかったのだ。

星野源さんは西野さんがやりたかったことをニコニコしながら平気で飛び越えていく。プラスのパワーで話題を起こしていく。星野源さんの力だけではないけど「逃げ恥」や「恋ダンス」で社会現象を巻き起こし、星野源が話題になればなるほど星野源さんの本が売れる。そして星野源さんは西野さんと比べて本だけではなくCDも売れる。ライブの動員も増える。星野源強い。

というわけで星野源、めっちゃ稼ぐやんというお話でした。

まとめ:一芸に秀でる

僕が新入社員として入社した時、うちの会社の社長が「一芸に秀でろ」という話をしてくれた。僕はこの話の「一芸に秀でる」の部分しか覚えてなくて「一つのことを極めろ」という意味だと理解していた。

だから「一つのことだけ」って、それってどーなんだろうとずっと思っていた。

僕はプログラミングだってしたいし、デザインもしたいし、文章だって書きたい。やりたいこといっぱい。全部やりたい。

だけどこの言葉には続きがあることをつい最近知った。「一芸に秀でる者は多芸に通ず」。この諺は「一つの道を究めた人は、ほかの多くの事柄も身につけることがたやすくなる、または、自ずと見えてくるようになる」という意味。僕が思っていたのとはむしろ逆の意味だったのだ。

「働く男」の星野源×又吉直樹対談の中で又吉さんが「枠組みなしに、自分のしたいことがそのまま職業になったらええのにと前からおもっていたんです。だから『働く男』を読んで、星野源さんもそのへん感覚同じなんやと思いました。」と語っていた。

これからの時代に求められるのはこの2人のように、枠組みにとらわれずにやりたいことをやって二芸にも三芸にも秀でる人達なんだな。

↑ 星野源一作目のエッセイ集。

↑ 星野源二作目のエッセイ集。

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↑ 星野源さんの「働く男」を読んだ感想。

↑ 星野源さんのエッセイを読んでエッセイを書きたくなったというエッセイ。

↑ 今年の年賀状は星野源風にしたという話。

↑  又吉さんの「火花」を読んだときの感想。