やっぱりYUKIはすごかった。
「2回目のソロデビュー」と語られた7枚目のオリジナルアルバム「forme」。
最近シングルが出てもあんまり追いかけてなかったけどやっぱりオリジナルアルバムはちゃんと聴きたくて買いました。
少し気持ちが離れかけていたYUKIにやっぱりまだまだドキドキさせられて、やっぱりYUKI好きだ!って思い直したのでアルバムの全曲感想書きます。
YUKI「forme」全曲レビュー・感想
1 チャイム
文句なしで一曲目にぴったりの曲。チャイム(鐘)の音がとても心地良い。さわやかな曲調とは裏腹に歌詞をしっかり読むとけっこうアダルトな曲な気がして意外だった。
後半の「生まれたての風に乗れ」で伸びるYUKIの歌声からのギターソロが爽快ですごく気持ち良い。一曲目からキタキターってなる。
2 トロイメライ
さすが映画主題歌というわけでぐっと来る名曲。今までの曲で言うと「朝が来る」みたいな幻想的な雰囲気や「ひみつ」みたいな壮大さがある。個人的にYUKIのアルバムの中でも「うれしくって抱きあうよ」がかなり好きなんだけどこの曲からその頃の雰囲気が感じられてめっちゃうれしかった。
3 やたらとシンクロニシティ
冒頭から早口で飛ばす歌詞が爽快でそこから続く「やたらとシンクロ二シティ」の語感が気持ち良い。バックバンドに「キラーチューン」ぐらいの時期の東京事変感を感じた。たぶんキーボード(ピアノ)のせい。もう少し控えめな東京事変。楽しい。
4 魔法はまだ
さっきまでのさわやかさから一転、深夜の空気感。ヒップホップ感。
「魔法は 魔法は 魔法は」の部分がエモい。
最後の「真夜中のコンビニ〜」のフレーズリピートからYUKIの声が電気の中に溶けていって消える感じがすごくかっこ良い。今回のアルバムどの曲も終わり方が好き。
5 しのびこみたい
ここで落ち着いたアダルトな曲。YUKIのライブで途中こういう曲絶対入るよね。後ろの2人のコーラスとかからもう今からライブの模様が想像されてわくわく。最後のYUKI節全開のシャウトも最高。
6 ただいま
ゆるやかな夜更け前のような曲。YUKIは一人称を「僕」にして歌うことがよくあるけどこれは設定や口調から明確に男性目線の曲。
7 口実にして
「きっとあなたはマグロ漁船」「貸した三万円返して欲しかった」とかちょっとびっくりするようなワードがナチュラルに飛び出してくる。決しておしゃれではない関係の元恋人を思い出しているような曲。エピソードが超具体的なんだけどこれって実話なのかフィクションなのか気になる。気になる。どっちにしてもすごい。
8 風来坊
個人的に赤い公園の大ファンなので津野米咲さん作曲のこの曲すごく楽しみだった。いざ聴いてみるとサビの部分とか特に「赤い公園だー!」ってなった。編曲は例えば赤い公園の「最後の花」くらいトリッキーで電子的なもの。
途中のダンドゥンドゥビダンドゥンドゥビ(?)の所なんかはライブでYUKIが身体をくねらせながら踊っているのがありありと想像できて、作曲者自身もYUKIファンなんだろうな、YUKIファンの仕業だなというのが伝わってくる。
「あばらの骨折れるまで 風に吹かれてる」YUKIってボブでふわっとしていてかわいい、なのに歌詞はこんなにどきっとするくらい人間臭くて、だから皆惹きつけられるんだと思う。
9 転校生になれたら
学校の中みたいな音から始まる。YUKIの年齢で転校生になれたらなんて言い出すのもおかしいし「太陽系外縁天体でも たまご焼き分けてもらうの 半分こ」みたいな宇宙レベルの視点から急に日常レベルの視点へクローズアップされるつかみどころのない曲。
最後の「1、2、3、4 階段登って」の部分が声だけで本当に階段を登っている感覚にさせられる。表現者って本当にすごい。
10 Sunday Girl
タイトルの通り日曜日感がすごい。日曜日のお昼前とか昼下がりとかその辺りの感覚。そんな状況を音で表現できるのってすごい。と思ったけどきっとこの音にYUKIが後でタイトルをつけたのでYUKIがすごい。
そしてやっぱり生の楽器の音って良いなと改めて気づかされる。
11百日紅
尾崎世界観作曲。2枚目のアルバム「commune」に入ってそう。これもYUKI感ありつつクリープハイプ感もあり。YUKIの声の裏で尾崎世界観の声でも脳内再生される。歌詞もどことなくクリープハイプに引っ張られている気がする。
「幸せだけを伝染させる」という歌詞がすごく好きで、なかなかそれだけをするのは難しいけど、そうありたいよなと強く思う。
12 24hours
こんな曲を僕はずっと探していたしずっと探している。この曲が本当に好きすぎて、この曲の感想書くためにこの記事を書き始めたと言っても過言ではない。
Chara作曲。前半はそのままCharaが歌ってそう。問題は(問題は?)最後である。
「笑った 笑って 世界はーー」
「素晴らしい 美しいーー」
「わずかに咲いたーー」
「遊んで 夢見てーー」
ここ。この四段階に渡って胸を締めつけてくるところ...!「エモい」歌詞とは「エモい」メロディーとは何なのかを完璧にわかっていらっしゃる。おまけに最後のギターの残響がね...。
YUKIのファーストアルバムの名曲「プリズム」でYUKIが最後に追加したと言われる「咲くのは 光の輪 高鳴るは、胸の鼓動」の名フレーズ。これを平気で更新するような名曲が生まれてしまった。
13 美しいわ
最後はYUKIが作詞・作曲。ギターもきっと自身の弾き語り。一見おまけの曲かと思いきやしっかりと良いメロディーと最後の余韻が味わえる一曲。
今から8年前、5枚目のアルバム「megaphonic」ツアーのMCでYUKIは「最近ギターの練習を始めました」と言っていた(この時ですでに39歳)。その時始めたギターを抱えて自分で曲を作って、演奏して、こうして堂々と自分のアルバムに収録している。
そんなYUKIの姿が、何かを始めることに「まだ早い」とか「もう遅い」とかそんなことは関係ないって教えてくれる。
おわりに
このアルバムを「2回目のソロデビュー」というのは言い得て妙だし上手いなと思った。7枚目とは思えないくらいフレッシュだし、この1stアルバムに続く2nd、3rd、今後の活動がもっともっと楽しみになってくる。YUKIは何歳になったって何度だって生まれ変われる。
「forme」を聴けるのがうれしくて朝の通勤時間や仕事を終えた帰り道が楽しくなった。このアルバムが、YUKIの歌が、たくさんの人々の日々の小さな幸せとして響きますように。
↑初回盤
↑通常盤